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なぜ個人投資家は、落ちるナイフをつかんでしまうのか

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夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。

足下は株価の下落が急ですが、プットオプションで荒稼ぎをした一部の人を除き、値ごろに感じて買いを入れ、損をしている個人投資家が多いのではないでしょうか。「落ちてくるナイフをつかむな」とは昔からある投資の格言ですが、なぜ人は、特に個人投資家は「落ちてくるナイフ」をつかみ、怪我をしてしまうのでしょうか。

損失を取り戻そうとする

株価の急落局面で入る個人投資家の買いは、いわゆる「ナンピン買い」に近い発想だと思います。一般的に個人は常に買いポジションを持っています。手元にあるだけの現預金を株に投資をしているという人も、多いでしょう。少し投資に慣れると、配当を貰えない現預金で置いておくのは損、という発想になりますから。

そうやってポジションを取っていると、株価が上昇する局面では良いのですが、下落すると当然に含み損が出ます。自分の損失を認めたくないので、僅かでも資金に余力があればここで追加の買いを入れてしまいます。2万円で「まだ上がる」と判断した株価が1万8千円になったのだから、買わない理由は無いとばかりに。

これがナンピン買いです。心理学的には、利益を出した喜びよりも損失を出した悔しさの方が2倍くらい大きいと言われていますから、10%利益を出してから10%損失を出しても、やはり買い増しをするインセンティブが働くということですね。そうして、株価の下落局面で買いフルポジションを持つことになります。

投資余力としての現金を残していない

個人投資家は機関投資家とは異なり、明確な投資ポリシーを持っていませんから、手元の現預金を何割以上残さないといけないか、債権に何割という決まりはありません。良く言えば自由、悪く言うとガバナンスが全く効いていない状態です。マイホームのための貯金すら、株式にぶちこんでしまうことも可能です。

そして、初〜中級の(自称)投資家は前述の通り「配当を貰わないと損、値上がり益を取らないと損」だと考える傾向がありますので、目一杯のポジションを取りがちです。僅かに残った現預金も、少し「割安」になったと感じるや否や、全額投入してしまうのです。信用取引ができれば、もっと恐ろしいことになります

人の裏をかき、優越感を持ちたい

プロである機関投資家に逆ばり戦術を取るマネージャーはほとんどいない一方で、個人投資家には逆ばり戦術を好む人が多いのはなぜかというと、一つにはプロはサラリーマンとして上司に失敗の説明ができないことがありますが、個人が「人の裏をかき、自分は賢いと思いたい」という気持ちが働いているのだと思います。

実際、逆ばりが成功して利益が出ると、実に気持ちが良いんですよ。世間一般の愚民(笑)とは異なり、自分は特別な存在であり、真実が見えていると感じます。周りがみな恐怖に怯える中で自分だけが平常心だ、やはり俺はただものではない、みたいな。まあこれ、一種の厨二病ですよね。

勝負をして、格好良く勝ちたいという気持ちもあります。大きな流れに逆らって、負けるとしてもそれはそれで潔し。ギャンブルであれば、そういう楽しみ方も許されると思います。株式投資もギャンブルの一種ですから、負けて「まあしゃあない、面白かった」と思えるのであれば、それでも良いのですが。

歴史に学んでいない

私自身、ライブドアショックの際には含み損の現実を受け入れられずにナンピン買いで信用取引に手を出してしまい、「全財産を失うのではないか」という本当に怖い思いをしました。なので、信用取引で借金を背負って人生を台無しにしてしまう人の気持ち、なぜそうなってしまうのかのメカニズムは、良くわかるのです。

その教訓から、落ちてくるナイフは絶対につかみにいきません。ナイフが床に突き刺さり、その揺れが収まってからじわりとつかみに行きます。バブルの崩壊で経験を積んだ投資家の一部の方は、そのようにしてライブドアショックやリーマンショックを切り抜けることができたのではないでしょうか。

このような、相場の崩壊の経験がないと、「株式相場とは基本的にサイクルを繰り返すだけで、割安で買って割高で売れば儲かるのだ」というような安易な相場観になりがちだと思います。歴史に学ぶことは、とりわけ相場で生き残るには、重要なのではないでしょうか。

個人投資家が生き残るには

結論として、情報や知識・経験において機関投資家に劣る個人が市場で生き残っていくには、格好良くなくても素直な順ばり戦術で、相場のトレンドに逆らわないことです。上昇局面で買い、下落局面で売る。一定割合の含み損を抱えれば機械的に損切りし、一定の含み益を得ればこれも機械的に利益確定をする。

とにかく、素人である私たちが投資に感情を入れて、プラスに作用することは殆どありません。ひとしきり情報を集めて、自分の頭で考えたら、出口戦略に関してはシステマチックに、感情を交えずに実行できる仕組みにすることを強くお勧めします。それでは、また。

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