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おもてなしの国、日本のサービスレベルが圧倒的に高い唯一の理由

夢とお金の専門家、シナジーブレインの安田 修です。

スタジアム建設問題で揺れる東京オリンピックですが、滝川クリステルさんの招致プレゼン「お・も・て・な・し(謎の合掌)」はインパクトがありましたよね。日本の宿泊施設や交通機関、飲食店などのサービスレベルの高さには、国際的にも異論を唱える人は少ないのではないでしょうか。今回は、その理由を考えてみましょう。

仮説1:日本は仏教国だから

(謎の合掌)は、明らかに仏教徒の穏やかなイメージを利用したものでしょう。国で言うと、ほほえみの国ミャンマーですかね。でも、日本は別にそういう意味では仏教国ではないですよね。一応、統計上は8500万人くらい仏教徒がいることになっていますけど、どう考えてもそれが行動規範にはなっていない。

そもそも日本は神道の国で、仏教は後から入り、政策的に普及したものです。仏教徒は争いは好みません(これはイスラム教もキリスト教も同じ)が、特にサービス精神が旺盛という根拠にはなりません。神道の思想を結びつけるのも無理があるように思います。どうも宗教とサービスレベルはあまり関係がなさそうです。

仮説2:三波春夫が「お客さまは神様です」と言ったから

神様と言えば、故三波春夫さんが世に広めた「お客さまは神様です」という思想のことを忘れてはいけません。これ、一時期はかなり誤解されて使われていたようです。彼が歌うときの心構えを述べた言葉なのですが、彼のファンの経営者が「よし、うちもこれでいこう!」みたいなことになってしまった。

結果はどうなったか、クレーマーの温床です。有名な笑い話として、

「お客さまは神様なんだろう!どうしてくれるんだ!?」

「お静かに願います。他の神様にご迷惑です」

というものがありますが、いつのまにか、「客なのだから何をしても許される」という曲解をする人が増えてきたんですね。今ではこんな考え方も廃れてきましたし、この言葉の影響で日本のサービスレベルが上がったという解釈も、相当無理があると思います(そりゃそうだ)。

仮説3:斬り捨て御免の国だから

で、ここからが私独自の考えですが、日本のサービスレベルが異常に高いのは、江戸時代の制度である「斬り捨て御免」の影響ではないでしょうか。念のために説明すると、「武士が耐え難い「無礼」を受けた時は、切っても処罰されないとされる」制度のことです。無礼討ちとも言います。

「メシがまずい。えいっ!」みたいな極端なケースはもちろんほとんどなかったと思いますが、士農工商と露骨に身分制度が作られ、江戸時代の末期には実力の無い武士が威張っていたことも事実です。商人は刀を帯びた武士に対して心の中ではバカにしながらも、腫れ物に触るように接客をしていたことでしょう。

失敗したら、斬られるという緊張感。日常的に行われる、権力をもったヤクザ相手の接客。この面従腹背の歴史が、日本の高いサービスレベルを作ったと私は考えています。籠屋はJRになり、旅籠は旅館になり、茶屋はファミレスになりましたが、その精神は脈々と受け継がれているのではないかと。

日本人は穏やかな民族などではない

というのはまあ、何の歴史的な検証も経ていない私の想像ですが、なぜこんなことを思ったのかというと、日本のサービスレベルが高いのは、国民が穏やかだからではなく、国民が怒りっぽいからなのではないかと思わされることが多いからです。日本国民は、実は世界一扱いにくい、困った人々なのではないかと。

普段は気付きませんが、少し民度の低いエリアの場末の食堂みたいなところに行くと、ちょっとした店員さんのミスで大声を上げる客が多いことに気付きます。クレームを付けまくり、「金は払わない!」なんて言って出て行ったりします。本来の日本とは、こういうものだったのではないかなと。

これには、気候の影響もあると思います。天候の良い国に行くと、店のサービスなんてそれはもうめちゃくちゃなものですが、誰も腹を立てたりしていません。雨が多かったり暑かったり寒かったり、気候が厳しいのでイライラしやすい国民性になった、実はそれが日本人の本当の姿なのではないかと思うのです。

それでもサービスレベルが高いのはありがたい

このように穏やかに見えて実は激しやすい、面倒な国民性のクレーマー大国日本ですが、それでもいち消費者として、サービスレベルが高いのはありがたいことです。実に穏やかな気持ちで、日々を過ごすことができるからです。そのことは、この国に生まれた幸運として、素直に感謝したいと思います。

過度なまでのマニュアル化も、やり過ぎと思えるほどのカスタマーサポートも、斬り捨て御免の緊張感の産物なのです(笑)。言わば、日本はサービス提供側から見れば最悪のマーケットなんです。そんな国で鍛えられた我が国のサービスが、海外に出て負けるはずがない。皆さんはそう思いませんか。それでは、また。

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